我々の体は、眼球以外はすべて皮膚によって囲まれております。皮膚は体外の雑菌が体内への侵入を防ぐための重要な鎧(バリアー)なのです。もし、皮膚が欠落しているところがあれば、容易に細菌が体の中に入り込んでしまい、感染を受けることになります。歯は歯肉に取り囲まれており歯槽粘膜へと連続しています。歯槽粘膜は頬や口唇と連続しており可動性です。これらは、すべて上皮(皮膚)で覆われており、歯の上皮であるエナメル質という硬組織と連続しております。歯肉は粘膜と異なり非可動性で、強靭な角化組織という種類の上皮で覆われております。角化とは、例えば足のカカトや指先など皮膚が肥厚して硬く変化した状態のことです。上皮には、角化性上皮と非角化性上皮に大別されます。角化性上皮の方が、機械的刺激や化学的刺激に強いことは言うまでもありません。歯肉は角化性の上皮(角化組織)を有しております。
歯肉の幅と厚みはかなりの個人差があります。前述した様に、歯肉は歯とそれを支える歯槽骨を守るためのバリアーです。薄く幅の狭い歯肉より厚く幅のある十分角化した歯肉の方が、生体のバリアー能力は当然高くなります。
歯肉のタイプ(Bio type)は、薄く幅の狭い歯肉(Thin scallop type)と厚く幅の広い歯肉(Thick flat type)に大別されます。これは遺伝的なもので、後から自然に変化するものではありません。